同軸分配器・合成器とは
同軸分配器(合成器)は高周波信号を効率よく分配(合成)することができる機能を有しています。
使用する周波数帯域、コネクタ、特性インピーダンス及び分配数により、最適な分配器(合成器)を選択することができます。
同軸分配器の損失
同軸分配器は、通常分配数に応じて、入力端から入った信号を等分配します。
例えば図のような2分配器の場合は、入力信号として1のレベルを加えると出力端には1/2づつ分配された信号が出力されます。デシベルに換算すると、夫々3dBの分配損失が生じます。
分配損失は概算ですが、3分配では1/3づつ出力されるため5dB、4分配では6dB、8分配では9dBとなります。
一方、出力端から夫々等しいレベル、同一周波数、同位相の信号を印加すると、上記入力端には2倍の電力が出力されます。
この場合は合成器として使用します。即ち、分配器と全く逆の動作をするわけです。
なお、周波数や位相の異なる信号をそれぞれ入力1と入力2から入れた場合は、入力された信号の半分のレベル(-3dB)だけ出力され、残りの半分は内部のアイソレーション吸収用抵抗に消費されます。
更に、このような回路を通過する際に一部の信号は熱になったり、接続部分などで反射して通過損失が生じます。分配損失を無くすわけにはいきませんが、この挿入損失を如何に小さくするかが重要です。通常、挿入損失は0.5dB~2dBを目安としておくと良いでしょう。
アイソレーション
アイソレーションは分配器にとって重要なファクターです。
例えば図2のような合成器に2つの異なる信号を印加するものとします。このとき入力2から入力1へ信号が回り込むことが考えられます。
この時の入力2への印加レベルと入力1への回りこんだ信号レベルの比がアイソレーションとなります。アイソレーションの値は大きいほど望ましいのですが、通常は20dB程度です。
アイソレーションが悪いと混信が起こり易いということもありますが、分配出力の片側を外した場合に負荷側の影響を大きく受け、もう一方の経路の特性にも大きく影響します。
VSWR
分配器もインピーダンスマッチングが重要です。通常の試験では測定する端子以外を全て同じインピーダンスの終端器で終端し、ネットワークアナライザで反射特性を測定します。
VSWRは1に近いほど反射が少ないので効率よく電力を伝えることができます。VSWRについてはインピーダンスマッチングの項を参照して下さい。
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