減衰器とは
高周波回路に欠かせない減衰器(アッテネータ)とは、一言でいえば、「入出力の整合を保ちつつレベルを減衰させる物」ということになります。
レベルを減衰させることは、抵抗一本で可能ですが、それでは入出力インピーダンスが変わってしまいます。
それでは信号の反射が起きてしまうので、レベルを減衰させつつ、入出力インピーダンスが特性インピーダンスとマッチングするための回路を考えると、上図のようになります。
左側の回路がT型、右側の回路がπ型と呼ばれているもので、それぞれの抵抗値の計算式は、次のようになります。
特性インピーダンス50Ωと75Ωの抵抗値はこちらをご覧下さい。
固定アッテネータ抵抗値表
この減衰器の用途ですが、、次のようなことが考えられます。
(1)レベル調整用減衰器
いろんな高周波コンポーネントが組み合わされた回路において、レベルダイヤグラムを検討していると、そのレベルを調整するために固定減衰器を挿入します。
たとえば、多段型の増幅器などは、入出力間で規定の利得に設定するには、どこかの場所に固定減衰器を入れて、利得調整する必要が出てくるでしょう。
(2)測定用減衰器
減衰器は、レベルを正確に測る事ができ、そして何よりも「直線性が良い」ということがいえます。
この直線性が良いということは、どのような信号レベルにおいても、減衰量は一定であるということです。
この直線性が良いということは、測定において非常に重要なことなのです。
この特性を利用して、方法は、RF置換法などとも呼ばれています。
(3)インピーダンスマッチング用減衰器
減衰器は、インピーダンスマッチング用(整合用)にも使用されます。
たとえば、6dBの固定減衰器をマッチング用に挿入した場合、入力側から見たリターンロスは、出力側を開放、または短絡し、全反射の状態で、固定減衰器の入力側から出力側で6dB、出力側から入力側で6dB、合計12dBのリターンロスになります。つまり、全反射である0dBのリターンロスが12dBに改善されるわけです。
このインピーダンスマッチング用の減衰器は、機器内用だけでなく、測定用のケーブルに接続して、測定器側のミスマッチによる誤差を軽減するためにも使用することがあります。
固定減衰器の例
固定減衰器は高周波特性を伸ばすために同軸構造になっており、また抵抗基盤上も同軸シェルとのマッチングが最良なるよう工夫されています。
通常は、システムのレベル調整用として、3,6,10,20dBが多く使用されています。
固定減衰器も終端器同様、許容電力以下で使用しなければ、発熱や発煙の原因となります。
高周波用語集》
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