同軸切換器
同軸切換器は複数(又は1つ)の同軸線路を希望する同軸線路に切り換える装置です。
同軸切換器の種類には、1入力で複数の出力に切り換えるものや多入力を1系統の出力に切り換えるもの、また切り換える手段もリレーや半導体を使用し電子的に切り換えるものや手動で切り換えるものなどがあります。
一番簡単な切換器の構成はSPDT(Single Pole Double Through:短極双投)、いわゆる2切換器です。
高周波同軸切換器の場合は、単純に回路のオンオフだけではなく、インピーダンス整合を図りつつ、回路間のアイソレーションも考慮する必要があります。
一般的には50Ωタイプと75Ωタイプがあり、接続する同軸コネクタもそれに適合するような構造になっています。
高周波同軸リレーを用いた同軸切換器
同軸リレーの特徴は、オン抵抗が小さいため挿入損失を低く抑えらることです。
また、機械式接点のため、高速切り換えには適していませんが、装置内の信号選択用途や印加電圧が停止した場合でもどちらからの接点は閉じているため、停電や故障時のフェイルセーフ機能などにも用いられています。
切り換え時には一旦ノンショーティング状態となりますので、切り換えの際の過渡応答による出力機器等への影響の有無に関する注意が必要です。
(1)シングルステーブルタイプ
励磁コイルに定格電圧を印加するとコンタクトはNCからNO側に切り換わります。再度、印加電圧をオフすると、NC側に戻りその状態を維持します。
(2)ラッチングタイプ
ラッチングタイプは励磁コイルとして2つの巻線を持ち、セット用とリセット用に分かれています。
ラッチングタイプはシングルステーブルタイプと異なり、希望する制御端子に定格電圧を一定時間だけはパルス状に印加することにより、その状態を保持しますので巻線に電圧を常時印加する必要がありません。
切り換え時間は20msが標準値となっています。
(3)内部終端の有無しとは
同軸切換器の場合は単純に回路を切り換えると、接続されていない方の端子は、解放となってしまうため他の回路に影響を与えることがあります。この場合には強制的に特性インピーダンスに等しい抵抗で終端できるように
終端機能付きの切換器を使用しています。
PINダイオードを用いた同軸切換器
同軸回路を高速で切り換えるためには、ダイオードスイッチが有効で10μs程度で切換が可能です。
但し、高周波リレーに比較するとオン抵抗が若干大きく、挿入損失では前者が0.5dBに対して1.5dB程度となっています。
電子式切り換え方式ですので、耐久性が要求される連続の切り換えや、高速での切り換える用途には最適です。
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